人間ドック (Ningen Dock)
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原著
特定保健指導実施率向上の取り組みと組織作り
辻本 直美田村 拓也小嶋 麻美宮田 由加利松村 ゆかり山﨑 理与畑中 亮二岬 昇平西川 朋希
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2020 年 35 巻 4 号 p. 552-561

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抄録

目的:当院における特定保健指導の取り組みと,組織体制の変化を振り返り,特定保健指導実施率の向上策を検討した.

方法:2011~2018年度の特定保健指導実施率,初回面接実施率,継続支援完了率を算出した.組織体制としての医療スタッフ数,保健師の力量形成などの取り組みを時系列でまとめ,特定保健指導実施率,初回面接実施率,継続支援完了率との関連性を検討した.

結果:初回面接実施者数は2011年度357人(実施率54.1%)から2018年度2,309人(99.1%)に増加した.継続支援完了率は2011年度20.2%から2018年度80.9%に増加した.保健師の入社年数に応じた力量形成を行い,多職種連携を進めた.2014年から特定保健指導専従の事務担当者を置いた.2017年度から産業保健活動を強化した.

結論:健診当日に行う初回面接の導入を起点に,2014年度以降,保健指導専従事務が継続支援者リストを管理し,継続支援完了率が高まった.保健師の力量形成として,入社1年目の保健師に健診業務を広く経験させることで,内部連携が円滑になった.産業保健活動により,企業と連携をとりやすい保健師が増えた.保健師を中心とした組織作りにより,改善を続ける組織風土が醸成され,特定保健指導実施率,初回面接実施率,継続支援完了率の向上につながる可能性が示唆された.

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© 2020 公益社団法人 日本人間ドック学会
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