2010 年 25 巻 4 号 p. 681-687
目的:食事負荷試験における尿中ミオイノシトール測定による,耐糖能異常群の効率的・簡便な検査法の検討(その2).
方法:同意を得られた糖尿病外来・健診受診者52例を対象とし75g糖負荷試験を実施し,WHO基準(1998年)に従い耐糖能の型分類を行った.正常型のうち糖負荷1時間後の血糖値が180mg/dL以上の者は準境界型とした.糖負荷前後,および別の日に実施した規定された食事(総エネルギー498kcal,糖質61.6g,主食は食パン)の負荷前と2時間後に採尿,尿中のミオイノシトール(UMI)を測定した.ΔUMIはクレアチニン補正したUMI濃度の負荷前後の差として計算し,食事負荷でのΔUMI検査による耐糖能異常群の検出が可能であるか検討した.
成績:糖負荷および食事負荷におけるΔUMIは良い正相関(r=0.796)を示し,ともに耐糖能が低下するほど高値を示した.耐糖能異常を検出するための食事負荷のΔUMIのカットオフ値は10mg/gCrが最適であった.ΔUMI陽性は,糖負荷および食事負荷において,糖尿病型で100%(8/8),impaired glucose tolerance(IGT)で86%(6/7)であり,両者の耐糖能異常の検出力はほぼ同等であった.
結論:規定された食事前後の尿中ミオイノシトール(ΔUMI)は糖負荷と同様に,糖尿病や耐糖能異常を簡便に検出できた.