人間ドック (Ningen Dock)
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原著
大腸腺腫発生のリスクの検討 -高野病院総合健診センター人間ドックの15年間の検診成績から-
佐藤 友美野崎 良一鎌田 智有山田 一隆春間 賢
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2009 年 24 巻 1 号 p. 110-115

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抄録

目的:大腸腺腫発生のリスクについて肥満を中心とした生活習慣関連因子との関連性を検討する.
方法:1992年4月から2007年3月までの15年間に高野病院健診センターで内視鏡検査の初回受診者16,647名(男性7,757例,女性8,890例)を対象とし,大腸腺腫発生のリスク因子として加齢,性差,BMI,総コレステロール(Tcho),HDL-コレステロール(HDL),中性脂肪(TG),LDL-コレステロール(LDL),空腹時血糖値(FBS),腹囲(WT)について大腸腺腫との関係を検討した.統計解析は多変量解析ロジスティック回帰分析を用いオッズ比(OR)を算出した.
結果:大腸腺腫発生の有意なリスクは男女共に加齢により1.03倍,経年変化では男性が40歳代で1.32倍,女性では50歳代から1.32倍とリスクが高くなり,性差では男性のリスクは女性の2.52倍であった.さらに男性では大腸腺腫発生に対するBMI≧25のORは1.270倍,BMI 1増加毎に1.009倍,TG増加は1.001倍,FBS増加は1.003倍,WTの増大により1.016倍とリスクは有意に高くなり,HDL増加は0.994倍とリスクを有意に低下させた.一方,女性ではTG増加は1.002倍,LDL増加は1.003倍,WT増大では1.019倍と有意なリスクとなった.
結論:大腸腺腫を発生させるリスクには性差では男性,加齢,内臓脂肪の増加に関わる因子があり,それらの予防が発生リスク軽減に寄与すると思われる.

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© 2009 公益社団法人 日本人間ドック学会
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