主催: 一般社団法人日本物理学会
会議名: 2016年度日本物理学会秋季大会
開催日: 2016/09/13 - 2016/09/24
私たちLEPSグループは、SPring-8で偏光γ線を用いた光生成反応実験を行っている。現在は偏光γ線を直線偏光で使用しているが、今後は円偏光も使用する予定である。標的に用いる物質は水素と重水素の分子を偏極させ固体にした偏極HD標的を用いることで、多彩な偏極実験ができる。HDを効率よく偏極させるにはオルソH_2を触媒として使用する。HDを数十 mKの極低温、17 Tの強磁場の下で3ヶ月間保持し、HDの偏極を成長させ凍結させていく。製作した偏極HD標的の偏極度は44 ± 1 %、緩和時間は8±2ヶ月であった。また、偏極成長中に偏極度を知ることは、さらに効率よく偏極させるために重要であり、700 MHzの高周波NMRを用いて偏極度の成長をモニターすることに成功した。また、今年度中にも偏極HD標的を用いた実験を行う予定である。今回は、この結果と現状について報告する。