不純物を大量に加えた半導体の電気抵抗は, 磁場を加えると減少する. この現象-負の磁気抵抗-は, 発見以来二十数年もその正体がつかめずほとんど忘れられかけていた. 一方, 電気伝導の一般論, 即ち, 空間的にランダムなポテンシャル中を運動する電子の問題には, この二, 三年で大きな進歩があった. その結果, 負の磁気抵抗は, AndersonとMottにノーベル賞をもたらしたこの問題と密接な関係がある事がわかり一躍注目されはじめた. この文では, 負の磁気抵抗とその理解のために必要な範囲でランダムな系での電気伝導の理論を解説する. 半導体に関する知識が全く無くても読めるようにしたつもりである.