1999 年 26 巻 4 号 p. 130-135
黄色ブドウ球菌ヌクレアーゼの再生過程を,本酵素の蛍光強度増大を指標としてストップトフロー法により観測した。pH1.6から6.7へのジャンプに関し,三相が観測され,それぞれの見かけの速度定数k1,k2,およびk3(k1 > k2 > k3)と遷移相の熱力学諸量を評価した。最も速いk1-相には,小さい活性化エンタルピー変化と大きい負の活性化エントロピー変化が伴った。酸性領域において急激に小さくなったが,k3はほぼ一定であった。k1-相とk2-相は脱プロトン化過程を反映しているものと考えられる。