医学教育
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医学部卒業時のAdvanced OSCE
心疾患診察ステーションの試み
出口 寛文林 哲也寺崎 文生浮村 聡北浦 泰津田 司畑尾 正彦
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2004 年 35 巻 4 号 p. 245-253

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抄録

近年, わが国の大学医学部, 医科大学では基本的臨床技能を評価するために客観的臨床能力試験 (OSCE) が広く取り入れられている. われわれは第6回医学教育セミナーとワークショップ (岐阜市) で, 卒業時 (臨床実習後) の学生を評価するための心疾患診察ステーションのトライアルを行った. ステーションは15分間で「心不全を伴う僧帽弁逆流症の患者」を想定し, 医療面接, 身体診察とカセットテープによる心音・心雑音の聴診を課した. 評価は3人の評価者で行った. 医療面接の平均点は22.3±4.0点 (34点満点), 身体診察と聴診の平均点は15.2±2.9点 (22点満点) であった. 各評価項目ごとの一致度をスコア化し, 評価者間の一致度を検討した. 一致度を示すkappa係数は医療面接では0.596~0.697, 身体診察では0.653~0.736といずれも良好な一致が認められた. 参加型臨床実習では知識, 技能, 態度のみならず, 解釈や問題解決までの能力が要求される. 実習後の評価ではこれらのすべての要素が検討できるOSCEが望ましい. ステーションの後半部分に診療録記載や治療計画を問うなどの設問を加えれば, 解釈や問題解決までのレベルも評価できる. 今回試行した心疾患診察のステーションは医学部卒業時のOSCE (Advanced OSCE) の1つのあり方を示すものと考えられる.

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