2001 年 32 巻 1 号 p. 7-12
近年, わが国の大学医学部, 医科大学では, 基本的臨床技能の実習が教育カリキュラムに多く取り入れられるようになり, その評価として客観的臨床能力試験 (OSCE) が各施設で行われるようになった.しかし, わが国では臨床講座の筆記試験とOSCEの成績を比較した検討は少ない.そこで, 山口大学医学部5年生に対して行ったOSCEの各ステーションの成績と, それに対応すると思われる臨床講座の筆記試験の成績を統計学的に比較検討した.その結果, この両者の成績には相関性は認められなかった.これは, 教育目標分類上, 別の領域の能力が評価されていることが再認識され, OSCEの評価法としての独自性と意義を示すものである.大学医学部において, 臨床技能や態度を重視した新しい臨床医学教育法の導入が必須となってきた.