2021 年 52 巻 5 号 p. 421-426
大学外・都道府県外への移動を伴う医学部地域医療臨床実習は, 新型コロナウイルス感染症の流行によって制限・縮小がなされた. それがどのような学習の不足を招き, その不足をどのように補填したかについて, 第53回日本医学教育学会学術大会特別シンポジウムでは討論された. 結果, 地域医療教育の2つの「本質」として, 1) 多職種の関わりの中で将来の自己の役割・責任を認識できること, 2) 医療機関という枠組みを越えて患者を中心に医療全体を俯瞰できること, が浮かび上がった. また, オンライン補填教育のgood practiceは, ポスト・コロナ時代においても実習体験価値を高める目的で活用すべきであり, そのことは地域医療教育自身の「進化」に繋がる, という結論に達した.