Japanese Journal of Endourology
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症例報告
f-TUL後後腹膜血腫から血友病が発覚し, 適切な周術期管理にて安全に加療し得た腎結石の一例
山下 大輔逢坂 公人荒木 あずみ槙山 和秀近藤 慶一中井川 昇矢尾 正祐
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2018 年 31 巻 1 号 p. 148-152

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抄録

 症例は73歳男性. 多発右腎結石に対して他院にてflexible transurethral lithotripsy (f-TUL) を施行した. その後尿路感染症による敗血症性ショックを発症し, 集学的治療を要した. 経過中に進行する貧血を認め, CTにて左腸腰筋及び両側臀筋の血腫を認めた. 直ちに赤血球輸血と動脈塞栓術を施行した. これまでの出血傾向と血友病の家族歴から, 血液凝固系の精査にて第Ⅷ因子活性16%と低下を認め, 血友病Aの診断に至った. 第Ⅷ凝固因子補充にて出血傾向の改善を認めた. 残石の加療目的に当院紹介となった. 周術期に第Ⅷ凝固因子補充と, 術直前の尿管ステント交換及び抗菌薬加療を行い, 計3回のf-TUL施行した. いずれも出血等の合併症なく結石の治療は終了した. 周術期に出血傾向を呈する男性患者の場合, 血友病の存在を念頭に置いて積極的に血液凝固系の精査をすべきと考えられた.

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© 2018 日本泌尿器内視鏡学会
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