Japanese Journal of Endourology
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症例報告
完全内臓逆位と右室性単心室症術後症例のパラガングリオーマに対して腹腔鏡下後腹膜到達法にて腫瘍摘除術を行った1例
袴田 康宏神田 裕佳杉浦 晧太今井 伸米田 達明
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2017 年 30 巻 2 号 p. 182-186

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抄録

 症例は32歳男性. 完全内臓逆位を幼少期より指摘されていた. 22歳時に右室性単心室症に対して手術を行い, 術後当院小児循環器科でフォローされていたが, 血液検査にて肝機能異常を認めCTを撮影したところ腹部大動脈右側に10mmの分葉状早期濃染結節を認め当院内分泌内科に紹介となった. 内分泌内科での副腎ホルモン検査にてノルアドレナリンが高値であり, MIBGシンチで腫瘍への集積を認めた. CTでは明らかな遠隔転移を認めなかった. 以上よりパラガングリオーマと診断し, 腹腔鏡下後腹膜到達法にて腫瘍摘除術を施行した. 腫瘍周囲を操作中, 一時的に収縮期血圧が180mmHgに上昇したが, それ以外血圧は安定していた. 摘出した腫瘍の割面は赤褐色で, 正常組織との境界は明瞭であった. 病理診断では顆粒状胞体を有する腫瘍細胞の胞巣状増生を認めた. 術後特記すべき異常を認めず, 現在定期的な外来通院中である.

 完全内臓逆位症例に合併したパラガングリオーマの報告は極めて少なく, 腹腔鏡下に腫瘍摘除術を行った症例は自験例が本邦初であるため, 報告する.

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© 2017 日本泌尿器内視鏡学会
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