2016 年 29 巻 2 号 p. 214-219
【目的】京都市立病院では2012年に腹腔鏡下腎部分切除術(LPN)を立ち上げ,引き続き2014年に倫理委員会の承認のもと,ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術(RAPN)を開始した.LPN初期症例とRAPN初期症例を安全性および有効性の観点から比較検討した.
【対象・方法】2012年11月から2016年3月までの立ち上げ期におけるLPN22例(術者5例)とRAPN23例(術者2名)を比較した.
【結果】全45例の年齢64.3歳(31.8-86.9歳),BMI 23.1kg/m2(15.5-32.6kg/m2),腫瘍長径 25mm(13-75mm),R. E. N. A. L nephrometry score 6(4-10),RAPN群の年齢が高い以外には両群の背景に差は無かった.LPN群のステント留置を含む手術時間304分(244-510分),腎阻血時間35.5分(9-64分),出血量112ml(7-3160ml).RAPN群は,各々338分(208-520分),26分(0-53分),169ml(11-1615ml)であった.腎阻血時間はRAPN群で有意に短かった(P<0.05).合併症(Clavien-Dindo Ⅲ度以上)はLPN群1例,RAPN群2例に認め,LPN群1例で腹腔鏡下腎摘除術に移行を余儀なくされた.
【結語】ロボット支援の有無で,立ち上げ期の低侵襲腎部分切除術の総手術時間,術中出血,合併症に大きな差はなかったが,腎阻血時間は短縮される可能性が示唆された.