1998 年 33 巻 3 号 p. 164-178
東アジアスケールの高濃度03とSO42-やNO3-等の二次大気汚染物質の動態を3次元の物質輸送モデルと九州地域を中心とした1987年5月の野外観測データとの比較により解析した。その結果, 春季の移動性高低気圧の通過に伴い大陸スケールの間欠的な大気汚染物質の長距離輸送が生じること, モデルは観測された03やSO42-やNO3-等の濃度の空間・時間変化をよく再現すること, SO42-濃度と対流圏内の光化学反応の寄与率の水平分布とその経日変化は酷似していること, 春季の日本付近の高濃度03には, 成層圏起源の03の沈降が重要な寄与を示すことが示された。