2006 年 24 巻 2 号 p. 83-87
歯質接着システムにおいて, ボンディング材の機械的強度が高い場合に高い接着性能が発揮されることが報告されてきた.臨床上, 接着操作直後の接着性能も重要であり, この時期のボンディング材の強度を知る必要がある。本研究の目的は, ボンディング材の光照射直後の引張り強さを評価することである.3種の2ステップセルフエッチングシステム, クリアフィルメガボンド (MB), フルオロボンド (FB) およびユニフィルボンド (UB) のボンディング材を使用した.引張り強さは, ボンディング材への光照射直後, コンポジットレジンへの光照射直後および24時間経過後の3つの段階で評価した.その結果, ボンディング材の引張り強さは, MBが最大で, 以下FB, UBの順であった.3つの段階での比較では, ボンディング材への光照射後, コンポジットレジンへの光照射後, 24時間経過後の順に大きくなった.ボンディング材への光照射直後では, 重合が十分に進行しておらず, コンポジットレジンへの光照射やpost irradiation hardeningにより重合が進行し, 引張り強さが大きくなったと考えられる.