肩関節
Online ISSN : 1881-6363
Print ISSN : 0910-4461
ISSN-L : 0910-4461
筋腱疾患
肩腱板広範囲断裂に対する棘下筋回転移行術の2年成績
石谷 栄一原田 伸哉
著者情報
ジャーナル 認証あり

2022 年 46 巻 1 号 p. 96-100

詳細
抄録

 肩腱板広範囲断裂症例に対する棘下筋回転移行術(ISP移行術)の術後2年成績を調査し,この術式の特徴を検討した.術後6ヶ月,12ヶ月,24ヶ月の検診が行えた19例(男性13例,女性6例,平均年齢69.5歳)を対象にした.調査項目は可動域(挙上, 外旋, 内旋),筋力(挙上,外旋,内旋),JOAスコア,Shoulder36,Sugaya分類とした.術前に対して術後の各時期を多重比較検定した.再断裂(Sugaya分類タイプ4 & 5)率は5.3%であった.疼痛が軽減するためJOA, Shoulder36スコアは術後6ヶ月から改善した.しかし,Sugaya分類タイプ1 & 2とタイプ3では機能改善に大きな違いがあった.挙上可動域の改善はタイプ1 & 2が6ヶ月に対してタイプ3は24ヶ月と遅延した.挙上・外旋筋力はタイプ1 & 2が改善するのに対してタイプ3は改善しなかった.ISP移行術は再断裂率の少ない有用な術式であった.可動域,筋力ともに挙上は改善したが回旋の改善はなく挙上機能を改善させる術式だと考えられる.

著者関連情報
© 2022 日本肩関節学会
前の記事 次の記事
feedback
Top