肩関節
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筋腱疾患
無症候性腱板断裂肩における棘上筋および三角筋の組織弾性
甲斐 義浩来田 宣幸山田 悠司幸田 仁志三浦 雄一郎福島 秀晃竹島 稔森原 徹
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2020 年 44 巻 2 号 p. 359-362

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抄録

 本研究では,剪断波エラストグラフィーを用いて,無症候性腱板断裂肩と正常肩における棘上筋および三角筋の組織弾性を比較検討した.地域在住高齢者136名を対象とした.問診,理学検査,超音波診断によって,無症候性腱板完全断裂と判断された12名(無症候性腱板断裂群)と,腱板断裂なしと判断された124名(正常肩群)に割り付けた.筋組織弾性の測定には,剪断波エラストグラフィーを用いて,棘上筋および三角筋の剪断波速度(m/s)を計測し,得られた剪断波速度の2乗の3倍をもって組織弾性値(kPa)を算出した.分析の結果,棘上筋の剪断波速度および組織弾性値は,正常肩群と比べて無症候性腱板断裂群で有意に低値を示した(p < 0.05).一方,三角筋では,正常肩群と無症候性腱板断裂群の間に有意な差は認められなかった.本研究の結果より,無症候性腱板完全断裂における棘上筋の弾性は,正常肩と比べて組織弾性値が有意に低下していること,三角筋では差がないことが示された.

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© 2020 日本肩関節学会
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