2018 年 42 巻 2 号 p. 462-465
鏡視下腱板修復術(ARCR)後における温冷交代浴が複合性局所疼痛症候群(CRPS)の発症予防および術後の肩関節可動域(ROM)に影響するか調査した.対象はARCRを施行した115肩で他動ROM訓練のみ実施したA群(15肩),他動ROM訓練と自主訓練を実施したB群(84肩),B群の内容に加え温冷交代浴を実施したC群(16肩)に分類した.3群間でCRPSの発症率,発症項目数,発症時期,術後7週での他動ROMを比較検討した.CRPSの診断は厚生労働省研究班の判定指標を使用した.CRPSの発症率はA群6肩(40%),B群14肩(16.6%),C群3肩(18.8%)であった.発症時期はA,B群に比しC群は有意に遅かった.ARCR後の温冷交代浴早期開始によりCRPS早期発症が予防できた.しかし,外転装具除去期の発症は予防できなかったため,同時期のCRPS発症予防を検討する必要があると考えられた.