心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
症例 左房血管肉腫の1例
坂井 修一郎谷内 荘成久保 正藤村 光夫和田 汪前田 昭治中川 禎二北川 正信
著者情報
キーワード: 血管肉腫, 左房, UCG, LDH, 左房粘液腫
ジャーナル フリー

1975 年 7 巻 3 号 p. 368-374

詳細
抄録

左房粘液腫と診断し,腫瘍を摘出したが,病理学的に左房原発の血管肉腫であり,死後剖検の行なわれた1例を経験した.症例:19歳女性.労作時の息切れのため1973年1月入院した.心音,心雑音,心尖拍動波,右心カテーテル所見,UCG所見などはいずれも左房粘液腫に特徴とされる所見に一致していた.LDH値(その分画では特にLDH2)の上昇がみられたが,血清GOT,GPT,CPK値は正常範囲内であった.腫瘍は卵円窩直下から後尖弁輪,左房後壁にわたる底部を有する凹凸不整のポリープ状のもので,切除標本の重量36g,組織学的に血管肉腫であった.術後,cyclophosphamide,5-Fu,mitomycin C,chromomycin A2を投与したが,腫瘍の転移と増大には無効であり,術後約4ヵ月で死亡した.
心臓原発血管肉腫は1972年までにわずか52例であり,そのほとんどは右房,心外膜に原発している.左房原発はGrossら,Hagerらの報告についで第3例である.

著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top