心臓
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症例 低左心機能および胸郭変形による低肺機能を合併したMarfan症候群に対するBentall手術の1例
佐々木 英樹青見 茂之野地 智上部 一彦木原 信一郎栗原 寿夫小柳 仁
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2003 年 35 巻 9 号 p. 645-648

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抄録

【症例】29歳,男性.
【経過】他院で10歳時に脊柱側弯症を,16歳時に心雑音を指摘されていた.1999年1月心不全症状が出現した.心臓超音波検査で,大動脈弁輪拡張症,大動脈弁閉鎖不全症(III度),低左心機能(EF20%)を認めた.呼吸機能検査では,%VCが32%,FEV1.0が33%と,混合性障害を認めた.Bentall手術を施行した.低左心機能であったため大動脈遮断解除後に計画的に大動脈内バルーンパンピング(IABP)を挿入し,人工心肺による補助循環を行った.術前から低肺機能であったため,術後15日目に気管切開術を施行し,術後33日目に人工呼吸器から離脱した.
【総括】低左心機能および胸郭変形による低肺機能を合併したMarfan症候群に対するBentall手術の1例を経験した.低左心機能に対しては計画的IABPが,低肺機能に対しては計画的な気管切開による緩徐な人工呼吸器からの離脱が有効であった.

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