心臓
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臨床 成人期に達したファロー四徴症根治術後症例の問題点
坂崎 尚徳槇野 征一郎鈴木 嗣敏岡本 文雄安藤 史隆
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2002 年 34 巻 4 号 p. 270-276

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抄録

当院で15歳未満に根治術を受け,成人期に達したファロー四徴症190例のうち,18歳以上の遠隔期死亡と再手術および心疾患に由来する入院例を検討した.また,当院に定期受診している109例に対し,心機能と不整脈を検討した.
【結果】1)死亡例8例の死因は,慢性心不全3例,心室細動1例,再手術後早期死亡2例,肝癌1例,交通事故1例であった.2)再手術例は11例12件で,手術適応は,右室流出路狭窄6件,conduit狭窄2件,大動脈弁閉鎖不全(AR)2件,感染性心内膜炎(IE)・心室頻拍(VT)1件等であった.ARの1例は,遠隔期に進行しBentall手術を受けた.3)入院例は6例(心不全3例,VT 2例,IE 1例)で,3例が死亡した.4)109例のうち,NYHA class IIのもの12例,強心利尿剤内服者9例,心胸郭比が60%以上のもの17例,VT既往者3例,心房細動3例であった.心エコー図検査所見では,右室流出路圧較差≧50mmHgの者が6例に,中等度の肺動脈弁閉鎖不全(PR)が25例に,ARが13例に認められた.
【結論】成人期の問題点は,右室流出路狭窄,PR,心室性不整脈,ARであった.中等度以上のPRは突然死や心室頻拍の危険因子とされており,PRに対する再手術の適応や時期については十分な検討が必要である.また,ARは成人期に進行する症例もあり,心エコー図検査での注意深い経過観察が必要である.

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