心臓
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研究会 第10回 心臓核医学研究会 心筋梗塞後のsilent myocardial ischemia検出における負荷心筋SPECTの有用性
楢林 英樹満岡 渉佐渡島 純一青木 真小柳 左門中村 元臣酒井 喜久夫中垣 修
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1990 年 22 巻 1 号 p. 94-100

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抄録

心筋梗塞(MD後の症例の残存心筋に,虚血が生じるか否かを確認する裏は,予後の把握と治療法の選択の上で重要である.本研究では,MI後の47例(男:39例,女:8例)を対象とし,一過性虚血(TI)の有無を,20iTIft荷心筋SPECT(S-SPECT)を用いて判定した.狭心痛を有しない34例を1群,有する13例をII(EA)群として,両群の臨床像およびS-SPECT上の所見を比較検討した.また,負荷ECG法(S-ECG)のTI検出率も検討した.負荷は,treadmill法とdipyridamole法を用いた.S-SPECTの解析では,定量的診断を重視した.1群中60%が,MI後3カ月以内であるのに対し,II群中70%が3カ月以上経過していた.1群中65%に,S-SPECTにてTIを認め,この群をsilentischemia(SD群とした.II群は全例にTIを認めた.SIの86%は,MI責任冠状動脈支配領域にのみTIを認めたが,II群の85%で,他の領域にもTIを認めた.1群中で有意の冠状動脈狭窄を有し,かつその支配領域がviableである22例中のTI検出率(sensitivity)は,S-ECG法では32%,S-SPECT法では82%であった.II群では,S-ECG法でも62%の検出率が得られたが,S-SPECT法では,100%であった.以上より,1)MI後比較的早期の症例では,SIを生じる可能性が高い,2)SI群1はEA群1より多枝病変が少ない,3)梗塞部周辺の残存心筋にSIを生じやすい,4)SIの検出には,S-SPECTが有用である事が示された.

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