心臓
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研究会 第10回 心臓核医学研究会 Cine MRIによる左室容積の算出と各種心疾患への臨床応用
近藤 武安野 泰史瓜谷 富三竹内 昭黒川 洋岡村 正博安野 直子古田 敏也下方 辰幸桜井 充渡辺 佳彦水野 康古賀 佑彦杉石 正司山口 弘次郎
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1990 年 22 巻 1 号 p. 63-72

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抄録

1.Cine MRIによる左室容積および左室駆出率の検討
各種心疾患20例を対象に心電図同期FE cine MRIを撮像した.1)左室垂直長軸断面および2)左室水平長軸断面からsingle-planeのSimpson法によりa)左室容積(LVV),b)左室駆出率(EF)を算出し,左室造影から得たLVV,EFとそれぞれ比較検討した.1-a)r=0.907(p<0.001)の,1-b)r=0.821(p<0.001)の,2-a)r=0.901(p<0.001)の,2-b)r=0.851(p<0.001)の有意な正相関を認めた.
2. Cine MRIの各種心疾患への臨床応用
(1)解離性大動脈瘤術後のMarfan症候群ではほぼ大動脈全体を一断面で捉えられ,根部の拡大も明確に把握できた.(2)心筋梗塞では梗塞部のasynergyと壁の菲薄化を,(3)特発性肥大性大動脈弁下狭窄症では左房拡大,中隔肥厚,流出路狭窄を,(4)VSDでは短絡血流を,(5)大動脈炎症候群では大動脈根部の拡大を観察できた.
3. Cine MRIによる弁逆流検出精度の検討
僧帽弁逆流に関しては心血管造影を真とするとMRIはfalsepositiveが多かったが,大動脈弁逆流に関しては高い一致を見た.また,MRIはカラードップラー法と同程度の弁逆流検出能であった.

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