心臓
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症例 生後10日目に弁切開手術を施行した先天性大動脈弁狭窄症の1治験例
本間 彰秋場 伴晴芳川 正流大滝 晋介小林 代喜夫中里 満鈴木 浩佐藤 哲雄鷲尾 正彦中村 千春
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1989 年 21 巻 7 号 p. 851-854

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抄録

症例は心雑音,頻脈,多呼吸を主訴に生後9日目に入院した男児.胸部X線で心拡大と著明な肺うっ血像を認めた.心エコー図で,大動脈弁輪径は5mmと狭く,弁のドーム形成がみられた.左室短縮率は19%と低下していた.連続波ドップラー法で左室-大動脈圧較差は約50mmHgと推定された.心不全が高度であったため,生後IO日目に体外循環下に手術を施行した.大動脈弁は粘液腫状に肥厚した二尖弁で,両交連部に切開を加えて狭窄の解除を計った.術後経過は良好で,心不全は軽減した.心エコー図で左室短縮率は47%と正常化し,連続波ドップラー法による左室一大動脈圧較差は約40mmHgであった.自験例は,我々が検索した限りでは本邦で2番目の年少手術成功例と思われる.

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