心臓
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症例 第4大動脈弓離断および縮窄を伴った第5大動脈弓遺残の1手術治験例
百々 秀心石沢 瞭高野 良裕常本 実島田 宗洋加治 正弘
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1987 年 19 巻 5 号 p. 586-590

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抄録

第5大動脈弓は,人間では胎生早期に消失するといわれていた.その遺残例は,外国6例,本邦6例の計12例にすぎない.今回我々は,第4大動脈弓離断,および縮窄を伴った第5大動脈弓遺残例を経験した.術前の心カテ・アンギオ検査で,カテーテルが,正常の大動脈弓の位置より下方から上行大動脈に入り,上行大動脈と下行大動脈との間には26mmHgの収縮期圧差が認められた.また,逆行性左室造影にて,通常の大動脈弓の位置する部分の血管は盲端に終わり,3本の血管がそれより分岐していた.
手術は,縮窄および動脈管靱帯を含めて,第5大動脈を切除し,Gore-Tex人工血管による大動脈弓再健術を施行した.衛後の心カテでは,上行大動脈と下行大動脈との間の圧差は認められなかった.
当疾患の血行動態的な修復手術に関し若干の文献的考察を加えた.

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