心臓
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症例 心病変を伴ったBecker型進行性筋ジストロフィー症の1家系
井内 和幸池田 孝之麻野井 英次稲坂 暢服部 信
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1983 年 15 巻 8 号 p. 908-914

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抄録

進行性筋ジストロフィー症の40歳男性(症例1)に心病変を認め,両親と同胞,その子供の計13人を検索した.CPK高値は症例1(280 U),弟(935 U,36歳症例2),姉(210 U)とその息子(695 U,20歳,症例3),別の姉の息子(1,050 U,14歳,症例4),さらに別の姉の息子(2,013 U,15歳)に認めた.症例1~4以外は臨床所見は認めなかった.症例1と2に四肢,臀部,肩甲部に高度の筋萎縮があり,筋生検で筋原性変化,症例3では仮性肥大があり,症例4では筋萎縮はみられなかった.症例1,3,4で心電図RV1の増高,ベクトル心電図でQRS環の走行異常と初期ベクトルの異常な前方偏位があり,心エコー図では症例3,4は正常,1,2で左室腔の拡大,後壁の動きの低下とエコー輝度の増大があり,同部の病変の存在が示唆された.症例1の左室造影では,駆出分画40%,後心基部にakinesiaが認められた.以上より本症例は心病変の合併のまれなBecker型筋ジストロフィー症の1家系と考えられる.

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