心臓
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症例 巨大な冠動脈瘤を伴う先天性冠動脈瘻の治験例
青柳 成明友成 一英水沼 孝義田尻 敏行星野 芳弘御木 高志赤須 巌大石 喜六古賀 道弘
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1978 年 10 巻 8 号 p. 827-832

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抄録

先天性冠動脈痩は,まれな疾患である.
教室では,巨大な冠動脈瘤を伴う先天性冠動脈痩を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は,32歳男性で,右冠動脈が右室に開口するもので,右冠動脈は,基部より著明に拡張し,巨大な2個の冠動脈瘤を形成していた.
体外循環下に,Symbasらの方法に従い,冠動脈瘤に縦切開を加え,その末端に存在した痩孔を閉鎖すると同時に,動脈瘤壁を一部切除し,Teflon patchにてaneurysmorrhaphyを行った.術後,心雑音は消失した.また,心電図上,心筋虚血を思わせる所見は見られなかった.しかし,経動脈的に痩孔閉鎖を行った症例に,冠動脈の閉塞をきたしたという報告もあり,今後,充分な経過観察が必要と考えている.

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