心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
[症例]
突然死リスクを有する右冠動脈左バルサルバ洞起始症に対し右冠動脈移設術を施行した2症例
中川 博文南渕 明宏岡田 祥一川幡 大嗣中村 圭佑寺田 拡仁奥山 浩
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 54 巻 8 号 p. 973-981

詳細
抄録

 冠動脈起始異常症(anomalous aortic origin of a coronary artery;AAOCA)は稀な先天的冠動脈異常である.その中でも右冠動脈が左冠動脈洞より起始するタイプ(anomalous aortic origin of the right coronary artery;AORCA)はそのほとんどが無症状で経過するが,前触れなく突然死する事例が報告されている.

 症例1は74歳,男性.AORCAを指摘されており,さらに薬剤抵抗性の反復性心室細動を有していた.これに対し植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator;ICD)挿入が行われているが,植込み後も1年に1回の頻度で除細動が作動していた.

 症例2は41歳,男性.安静時胸痛と一過性意識消失を伴う頻脈発作の精査を行ったところAORCAが指摘された.

 これまでのエピソードや検査結果を元に,これら2症例が突然死のリスクが高い症例であると判断し心停止下にて右冠動脈のreimplantation法を行った.術後の経過は良好で,術後2年以上が経過するが2症例とも術前に認めた症状は完全に消失している.

著者関連情報
© 2022 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top