2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_20
症例は42歳, 男性. 2002年, 特発性心室細動の診断にて植込み型除細動器 (ICD) が植え込まれた. 2012年某日早朝, 患者が呼びかけに応じず, 呼吸も停止しかけていたため救急要請を行った. CPRを施行しながら近医に搬送中, 心室細動に対して自動体外式除細動器 (AED) による除細動が行われた. 病着時はasystoleであり, 結局心肺再開せず, 死亡が確認された. 急変 6時間前のICD定期送信時には異常所見は認められなかった. 死亡後にICDのinterrogationを試みたが, ICDが不応であったため, Biotronic本社においてICD本体の検証が行われた. その結果, 不応であった原因は, ICDショック放電による大電流がshock lead内の短絡のためにICD本体に逆流し, 正常な放電が行われなかっただけでなく, ICD本体を破壊した可能性が示唆された. 今回, このような希有な症例を経験したため, 解析の詳細, 文献的考察も含め報告する.