心臓
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第25回 心臓性急死研究会
Silent Lead Malfunctionに起因するICD破損により正常なショック作動が行われず, 心臓突然死をきたした 1例
劔 卓夫田中 靖章本田 俊弘坂本 知浩中尾 浩一
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2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_20

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抄録

 症例は42歳, 男性. 2002年, 特発性心室細動の診断にて植込み型除細動器 (ICD) が植え込まれた. 2012年某日早朝, 患者が呼びかけに応じず, 呼吸も停止しかけていたため救急要請を行った. CPRを施行しながら近医に搬送中, 心室細動に対して自動体外式除細動器 (AED) による除細動が行われた. 病着時はasystoleであり, 結局心肺再開せず, 死亡が確認された. 急変 6時間前のICD定期送信時には異常所見は認められなかった. 死亡後にICDのinterrogationを試みたが, ICDが不応であったため, Biotronic本社においてICD本体の検証が行われた. その結果, 不応であった原因は, ICDショック放電による大電流がshock lead内の短絡のためにICD本体に逆流し, 正常な放電が行われなかっただけでなく, ICD本体を破壊した可能性が示唆された. 今回, このような希有な症例を経験したため, 解析の詳細, 文献的考察も含め報告する.

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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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