日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術の経験―穿孔例の原因およびその経過を中心に―
吉田 直久金政 和之酒井 恭子角田 圭雄森本 泰隆柏 敦文長谷川 大祐若林 直樹稲葉 征四郎柳澤 昭夫
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2008 年 50 巻 6 号 p. 1472-1483

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抄録

【目的】大腸内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:endoscopic submucosal dissection)はいまだ標準化がなされていない.本研究では,偶発症を中心に当院の大腸ESDを検討し,標準化について考察する.【方法】当院にて平成18年7月より平成19年5月までにESDを行った大腸腫瘍31病変を対象とした.腫瘍径,所要時間,一括切除率および術中穿孔および術後CTによる穿孔を検討した.また,術後のWBC,CRP値,後出血および在院日数を解析した.【結果】平均腫瘍径は26,8mm,平均所要時間は85分,一括切除率は87.0%であった.術中穿孔は,4病変,12.9%に認められた.CTにおける穿孔は,5例,16.1%に認められた.穿孔例は,全例保存的に軽快した.後出血は認められなかった.穿孔例では術後2日目にCRP値が有意に上昇した.平均在院日数は5.7日であった.【結論】大腸ESDは,高い一括切除率を示した.穿孔の頻度が高いため標準化にむけて慎重な対応が望まれる.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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