1994 年 36 巻 1 号 p. 108-115
中部胆管癌の1例に対し, Gianturco型expandable metallic stent COOKRを用いて内視鏡的逆行性胆管内ステンティングを施行した.症例は77歳,男性で黄疸と肝機能障害を指摘され入院.腹部超音波検査,CT,ENBDチュ-ブからの胆道造影で中部胆管癌の診断を得てZステントによるERBDを施行した.方法は,ガイドワイヤ-に沿わせて内視鏡を十二指腸まで挿入し,EST施行.続いて径3.7mmの外套チュ-ブを狭窄部の上縁まで挿入し,内部に径6mmx15mm・4連のZステントを充填してプッシャーチュ-ブで先端まで送り,外套チュ-ブを抜去してステントを拡張,固定させた.患者は術後9日目に退院し,120日目現在黄疸は出現していない.Zステントによる胆管内ステンティングはいくつかの間題を残すものの,悪性胆道狭窄に対する治療に有効であると思われた.