1989 年 31 巻 4 号 p. 831-836
1983年11月より1987年12月までに184例の食道静脈瘤患者に対し,554回の内視鏡的硬化療法を施行した.これらの症例のうちEIS後の食道狭窄は7例,3.8%に経験された.著者らはこれらの症例につきEOとAS注入量,及びEIS経過中に発生する食道潰瘍の形態から検討を加えた.その結果,ASについてはEIS各回の注入量及び総注入量において非狭窄群,狭窄群に有意差は認めなかったが,EIS2回目以降のEO注入量及び総注入量に有意差を認めた.またEIS後発生する潰瘍の形態は狭窄群においてEO注入部に一致する不整形の広汎なものを形成した症例が多く,EIS後の食道狭窄発生予防のために,EIS2回目以降のEO注入量に注意する必要があると考えられた.