1987 年 29 巻 6 号 p. 1123-1129
われわれは,胃癌リンパ節転移の有無を判定するために,10% oil in water型emulsion(以下10%o/w型emulsionと略す)を超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonograpgy;以下EUSと略す)に導入し,検討を行った.その結果10% o/w型emulsion投与は,検査2~3時間前に経口投与することがもっとも適当と考えた.また,臨床例7例におけるEUSによる1群リンパ節描出率は,リンパ節の大きさ3mm以上では69%,5mm以上では76%であった.なお,Emulsion経口投与後のリンパ節のenhancementの状況によって,転移リンパ節と非転移リンパ節の鑑別が可能で,3mm以上の大きさでは,感度92%,特異性100%,5mm以上では,感度91%,特異性100%であった.上記の結果から,超音波内視鏡は,胃癌リンパ節転移の診断法として有用と考えている.