早期胃癌の粘膜内への水平浸潤及び粘膜下への垂直浸潤と癌周辺粘膜性状との関連性を調べる目的で,癌が粘膜内を水平に拡がる随伴IIbを伴った早期癌と,長径2cm以内ですでに粘膜下浸潤を有する深部浸潤型早期癌を抽出し,病理組織学的に検討した.表在拡大型傾向を示した随伴IIb症例の周辺粘膜には粘膜の萎縮と腸上皮化生の傾向が顕著であり,粘膜内浸潤は粘膜に萎縮がない部分ではその進展が阻止され,粘膜の萎縮,腸上皮化生の強い部位に拡がる傾向が認められた.一方,深部浸潤型癌の周辺粘膜には萎縮はほとんど認められず,腺管密度は密である傾向がみられた.以上のことから,胃癌の浸潤様式と癌周辺粘膜性状との間には密接な関連性が示唆された.