日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
胃食道逆流症に対する内視鏡診断と治療の現状と課題
小池 智幸 正宗 淳
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2023 年 65 巻 6 号 p. 1085-1101

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抄録

胃食道逆流症(Gastroesophageal reflux disease:GERD)は,食道粘膜障害を有する「逆流性食道炎」と症状のみを認める「非びらん性逆流症(non-erosive reflux disease:NERD)」に分類される.逆流性食炎の内視鏡診断には,mucosal break(粘膜傷害)の概念が導入されたロサンゼルス分類にminimal changeを加えた分類が本邦では広く用いられている.GERDの主な治療は薬物療法でありプロトンポンプ阻害薬(Proton pump inhibitor:PPI)が第一選択薬とされているが,重症逆流性食道炎の治療にはより強力な酸分泌抑制作用を有するカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(potassium-competitive acid blocker:P-CAB)であるボノプラザンがより有効である.また,今まで本邦で広く普及するには至らなかった内視鏡治療だが,2022年4月から,ARMS(anti-reflux mucosectomy)およびESD-G(endoscopic submucosal dissection for GERD)として報告されてきた内視鏡治療が,内視鏡的逆流防止粘膜切除術として保険適用となったことから,GERDに対する内視鏡治療がより普及する可能性がある.今後,その適応や長期予後について明らかにしていく必要がある.

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© 2023 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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