2022 年 64 巻 11 号 p. 2391-2411
Precutは本邦では選択的胆管挿管困難例に対して施行されることが多く,エキスパートのみが行うサルベージ手技として位置づけられている.近年,エキスパートの術者が行うearly precutの有用性が欧米から報告され,最近ではdirectすなわちprimary precutの有用性がアジア(韓国,インド)から報告された.トレイニーが習得するにはハードルが高い手技の1つであるが,今後はその有用性からエキスパートのみではなく,エキスパートの監督下であればトレイニーも行うべき手技の1つとなる大きな転換期を迎える可能性がある.しかし,precutは用語を始め,手技に至るまでその詳細は確立していない.
そこで,本稿ではprecutの用語の整理,現時点での動向などを解説する.また,precut施行時の観察ポイントや処置具の選択,具体的な手技の解説を行う.