日本消化器内視鏡学会雑誌
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造影ハーモニックEUSによる孤立性胆嚢病変の鑑別診断
鎌田 研竹中 完 北野 雅之大本 俊介宮田 剛三長 孝輔山雄 健太郎今井 元櫻井 俊治西田 直生志樫田 博史筑後 孝章千葉 康敬中居 卓也竹山 宜典Andrea LisottiPietro Fusaroli工藤 正俊
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2018 年 60 巻 9 号 p. 1611-1620

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抄録

【背景と目的】孤立性胆嚢病変の鑑別診断は課題が残されている.本研究の目的は,胆嚢孤立性病変に対する造影ハーモニックEUS(CH-EUS)の有用性を評価すること.

【方法】2007年3月から2014年2月までの間に,孤立性胆嚢病変を有する125人の患者に対してCH-EUSを施行し,レトロスペクティブにCH-EUSの有用性を検討した.はじめに,胆嚢病変と胆泥の鑑別診断能に関して,通常のBモードEUS(FB-EUS)とCH-EUSを比較検討した.その後,良悪性鑑別に対する診断能を両検査間で比較検討した.CH-EUSのVascular imageおよびPerfusion imageにおける血流パターンを5人の医師によるブラインドリーディングにて評価した.

【結果】胆嚢病変と胆泥の鑑別診断能に関して,FB-EUSの感度は82%,特異度は100%,正診率は95%であった.一方,CH-EUSの感度は100%,特異度は99%,正診率は99%であった.良悪性鑑別に関して,腫瘍の大きさあるいは形状に基づいて診断した場合のFB-EUSの診断感度は61-87%,特異度は71-88%,正診率は74-86%であった.CH-EUSにてVascular imageにおけるirregular vessel patternあるいはPerfusion imageにおけるheterogeneous enhancementを悪性所見とした場合の診断感度は90%,特異度は98%,正診率は96%であり,FB-EUSの診断能と比較し有意に良好であった.

【結語】CH-EUSは,孤立性胆嚢病変の鑑別診断において有用である.

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© 2018 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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