日本消化器内視鏡学会雑誌
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症例
初発期の腹部放線菌症を疑い診断的治療が奏功した1例
趙 智成工藤 進英三澤 将史矢川 裕介久行 友和工藤 豊樹若村 邦彦林 武雅宮地 英行山村 冬彦
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2016 年 58 巻 1 号 p. 4-9

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抄録

腹部放線菌症は内視鏡診断が困難な疾患である.下部消化管内視鏡検査(CS)で初発期を疑い,抗菌薬治療で奏功した一例を経験した.30歳代男性が右下腹部違和感とCRP高値を指摘され,腹部骨盤部造影CT検査で直腸・S状結腸が浮腫状に肥厚していた.CSで直腸・S状結腸に血管透見低下,びらんを認め感染性腸炎を疑った.抗菌薬治療が奏功せず入院となり,入院後のCSでS状結腸の浮腫状肥厚による管腔狭小化を認めた.放線菌症を疑い生検粘膜の培養を再検しActinomyces israeliiを検出し,腹部放線菌症に準じた抗菌薬で治癒した.CSで非特異的な炎症所見を認めた場合,本症を鑑別に挙げることが重要である.

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© 2016 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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