日本消化器内視鏡学会雑誌
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症例
大腸内視鏡所見を観察した黄色ブドウ球菌腸炎の1例
石橋 陽子松薗 絵美横山 文明菅井 望関 英幸三浦 淳彦藤田 淳鈴木 潤一鈴木 昭
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2012 年 54 巻 7 号 p. 2032-2038

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抄録

症例は29歳,女性.下腹部痛,発熱,下痢と血便のため入院.嘔気,嘔吐はなし.CTでほぼ全結腸に腸管壁肥厚と浮腫を認め,鑑別診断のため下部消化管内視鏡検査を施行した.生検病理組織学的所見で,感染を示唆する好中球浸潤に加えて虚血性大腸炎を示唆する所見も認めたが,便培養,組織培養ともにStaphylococcus aureusが検出され,黄色ブドウ球菌腸炎と診断した.臨床経過から他の腸炎との鑑別を要したため内視鏡検査を施行したが,その所見としては,虚血性腸炎類似の縦走性の発赤,浮腫,びらんと潰瘍を呈していた.病変は直腸から認め,口側ほど所見が強く,下行結腸ではほぼ全周性であった.

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© 2012 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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