2011 年 53 巻 4 号 p. 1229-1240
胃癌検診の大きな目的は,胃癌による死亡率の低下を目指していることは言うまでも無い.しかし,より早期に胃癌を発見することで従来の外科手術による治療のみならず,より低侵襲な内視鏡的治療が選択される.内視鏡治療により,患者のQ.O.L向上に大きな影響をもたらすことより,われわれ内視鏡医には内視鏡的治療が可能な病変での診断が求められている.内視鏡検査は診断情報として,病変部の色調の変化を加味して診断できる利点がある.色調が診断の手がかりとなる病変としては,IIb型早期胃癌に代表される平坦型病変であるが,その診断には発赤,褪色,色むらなどの所見が重要となる.特に微小胃癌においては,病変の存在に気づくきっかけとなる所見である.微小胃癌の診断の手がかりとなる粘膜の変化は,陥凹や隆起などの形態の変化のみにとらわれず,色調の変化にも注意して観察する必要がある.
NBI拡大内視鏡による観察により,さらに正確な微小胃癌の診断が可能となる可能性がある.