2016 年 32 巻 4 号 p. 288-294
脊椎疾患の診断において,画像検査は問診や身体所見から推察される疾患や病態を確認する手段である.現在の画像機器のほとんどが身体から取り出した情報をコンピューターによってデジタル化処理し画像へと再構築しているため,その過程において様々なノイズやアーチファクトが入り込む危険性があることに留意する.また,再構築された画像を過剰評価してしまうという危険性を常に有していることに留意する.単純X線像は,脊椎の配列や,不安定性を見るのに適している.X線CTは,骨や骨化巣の描出に適している.MRIは,軟部組織の描出に適している.X線CTとMRIは相補的であるため,両者をうまく組み合わせることで正確な診断につながることが多い.脊椎疾患に対する装具療法は,神経障害の有無,画像所見における椎体·椎間不安定性,および病態に応じた局所制動の必要性を考慮して,装具療法の適否とその種類について決定することが肝要である.