1996 年 50 巻 1 号 p. 3-12
胃癌に単剤で有効と考えられている主要薬剤はMMC, 5-FU, ADMおよびCDDPで, それらの奏効率は20%程度と考えられている. したがって, 進行・再発胃癌に対する化学療法として, MF, FAM, FAP, EAP, FP, MTX/5-FU, FAMTXなどの多剤併用療法が試みられてきた. 当科でも単純で使いやすい2剤併用療法としてMP療法を考案した. しかしながら, 最近数年間の報告をみる限り, これらの治療法のなかでCR例が得られ, 有効性が期待されたregimenでも, その奏効率は30~40%, 50%生存期間は6~9カ月である. また, 比較試験で5-FUのような単剤による治療より優れていることを示したものは少なく, 標準的治療法はいまだに確立されていない. 唯一, FAMTX療法がFAMや無治療に優り, 注目されている. 一方, 現行のregimenを合理的に選択し, 実質的な有効率を向上させるための抗癌剤感受性試験の有用性が臨床試験で初めて明らかとなり, その実用化が期待される