医療
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遺伝子の異常とヘモグロビン異常症
宮地 隆興矢加部 茂竹尾 貞徳前川 宗一郎吉田 康洋池尻 公二
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1990 年 44 巻 2 号 p. 97-105

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抄録

グロビン遺伝子の欠損や塩基配列の異常は, 転写や翻訳の停止, mRNAの不安定や成熟異常を生じ, サラセミア症候群を, 遺伝子の融合エクソン部の異常の一部はサラセミア様ヘモグロビン異常症を, mRNAからグロビンを合成するが4個のグロビンの会合前に崩壊したり, 会合後ただちに崩壊する超不安定ヘモグロビンを, そしてヘモグロビンを産生した後赤血球中で, 不安定性, 溶解度の減少, メトヘモグロビン形成, 酸素親和性の異常を示す異常ヘモグロビン症を現す一連の相互関係を述べるとともに, これらのヘモグロビン異常症の病態や臨床的特徴について言及した. このように今まで全く異質のものと考えられていたサラセミア症候群と異常ヘモグロビンとは, 遺伝子の異常に基づく同質のものであることが明らかとなつた. このようにヘモグロビン異常症は, 遺伝子の異常を原因とする疾患の典型である.

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