1990 年 44 巻 8 号 p. 779-785
疑似てんかん発作(以下「疑似発作」)は, ある時期に入院した成人患者100名中15名にみられ, そのうち11名では真のてんかん発作に合併してみられ, 残りの4名では真のてんかん発作はみられなかつた. 疑似発作症状はけいれん性5名, 非けいれん性6名であり, 各例のてんかん発作と疑似発作を比較すると7名(64%)で疑似性がみられた. 疑似発作の発現時期は心因の明確な3例を除き不明で, てんかん発作として治療され, かつ発作頻度はてんかん発作より多かつた. 疑似発作の発作時脳波には全く変化がみられなかつた. 心因の不明な8例では, 過保護で自己中心的な性格傾向がみられた. 臨床上疑似発作は固有のてんかん発作をもつ症例に出現したときにのみ使用するべきものと考える.