医療
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急性肺水腫診断の諸問題
内藤 雅裕大林 良和中西 宣文大久保 俊平国枝 武義吉岡 公夫
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1986 年 40 巻 9 号 p. 813-819

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抄録

急性肺水腫52例を対象に臨床像を検討した. 主訴は呼吸困難が最も多く62%であった. 理学的所見では多呼吸, 肺ラ音が高頻度にみられた. 血液ガスでは90彩の例でPaCO2は40TORR未満であり, 83%にPaO2 60 TORR未満の低酸素血症を認めた. 急性肺水腫を心原性肺水腫(CPE), 非心原性肺水腫(NCPE)に分け, 両者を比較した. CPEでは心疾患の既往をもつ例が多く, NCPEでは先行感染の病歴が多くの例でみられ, 検査上心電図異常, 心エコー図の異常所見, 心拡大はCPEで頻度が高かつたが, 自覚症状, 理学的所見, 血清酵素では差がみられなかつた. CPEでも肺動脈楔入圧の著しい上昇を伴わない例が多くみられた.―般臨床において, CPE, NCPEを鑑別する指標はなく両者の鑑別は容易でないことが分かつた. 肺ガス交換障害はNCPEで有意に高度であり, NCPEは治療に対する反応が悪く, 予後が不良であつた. 実例をあげ肺水腫, 特にNCPEでの早期診断, 治療の重要性を強調した.

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© 一般社団法人国立医療学会
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