日本健康教育学会誌
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原著
国民健康保険被保険者における医療機関受療状況と特定健康診査受診行動の関連
大西 眞由美 深江 優美川崎 涼子小坂 理子中尾 理恵子
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2023 年 31 巻 4 号 p. 210-220

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抄録

目的:医療機関受療状況と特定健康診査(以下,特定健診)受診行動との関連について,医療機関で受療している疾患の種類についても考慮しながら明らかにすることを目的とした.

方法:長崎県松浦市の40歳から74歳の国民健康保険被保険者の2019年度医療機関受療状況および特定健診受診状況に係るデータと2020年に実施された無記名自記式質問票を用いた横断研究への回答を二次分析した.特定健診受診の有無を従属変数,医療機関受療状況を独立変数とし,社会人口学的背景を調整した上で,年代別にロジスティック回帰分析によって分析した.

結果:40歳から74歳の国民健康保険被保険者データと突合することができた「県民の健康調査」回答者のうち,データに欠損がない1927名について分析を行った.60歳から74歳では,性別,家族構成,教育年数,運動習慣,主観的健康感ならびに主観的経済状況に関わらず,「高血圧症または脂質異常症による受療あり」(P<0.001)および「高血圧症および脂質異常症以外の受療あり」(P<0.001)は,「受療なし」と比べて,特定健診を受診している割合が高かった.しかしながら,40歳から59歳では同様の統計的有意な傾向は認められなかった.

結論:60歳から74歳では,疾患の種類に関わらず「受療あり」の者は,特定健診を受診している傾向が示された.

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© 2023 一般社団法人日本健康教育学会
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