老年歯科医学
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複製義歯用レジンの物性
岩堀 正俊堺 誠澤田 尚昌徐 彦彬山内 六男長澤 亨
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1996 年 10 巻 3 号 p. 204-209

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抄録

複製義歯用レジン2種 (FL, RE) の理工学的性質についてリライニング用常温重合型レジン (RR) および加熱重合レジン (AC) と比較検討した.
曲げ強度はFL: 684.6±47.9kg/cm2, RR: 387.3±67.4kg/cm2, RE: 277.3±69.3kg/cm2, AC: 593.1±33.8kg/cm2であった.ヌープ硬さはFL: 14.1±0.5, RE: 11.8±1.3, RR: 11.2±0.5, AC: 18.0±0.6であった.流動性はFLが最も良く次いでREであり, RRが最も悪かった.吸水量はRE: 0.47±0.12mg/cm2, RR: 0.63±0.11mg/cm2, FL: 0.65±0.19mg/cm2であった.線収縮率はFL: 0.32±0.07%, RR=0.32±0.04mg/cm2, RE: 0.30±0.05%であった.表面粗さ (Ra) はRR: 0.08±0.01μm, RE: 0.10±0.02μm, FL: 0.11±0.01μm, AC: 0.07±0.01μmであった.細部再現性はFLが最も良好であり, RRは上部の平滑面でややうねりを生じており, REではこの傾斜がさらに顕著で微小な凹凸を伴っていた.研磨面のSEM像では加熱重合レジンでは滑沢な面を呈していたが, RE, FL, RRでは表面に多数の気泡が見受けられた.
以上の結果より, 市販されている複製義歯用レジンはリライニング用常温重合レジンと物性に差異がないことが判かった.また, 複製義歯用レジンは表面性状や物性が加熱重合レジンに比べて劣るため, 口腔内で長期的に使用するのは避けるべきと思われる.

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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