老年歯科医学
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調査報告
歯科診療所通院患者における「口腔機能低下症」と「食」についての実態調査
廣岡 咲井尻 吉信奥田 宗義小野 一行
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2022 年 37 巻 3 号 p. 255-263

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抄録

 目的:歯科診療所通院患者における口腔機能低下症の実態(有病率,エネルギー・栄養素摂取量,生活・健康状態)を明らかにすることを目的とした。

 方法:歯科診療所に通院している65歳以上の患者128名(男性45名,女性83名)を対象とした。調査項目は,口腔機能低下症の診断項目7種(口腔衛生状態,口腔湿潤度,咬合力,舌口唇運動機能,舌圧,咀嚼機能,嚥下機能),簡易型自記式食事歴法質問票(以下BDHQ)を用いた栄養食事調査,基本チェックリスト(以下KCL)を用いた生活や心身の健康状態に関する調査である。

 結果:128名の患者のうち,口腔機能低下症に該当する者(該当群)は73名(57%),該当しない者(非該当群)は55名(43%)であった。栄養食事調査の結果,1,000 kcal当たりの調味料・香辛料類は,非該当群に比べ該当群で有意に高値を示した(p=0.042)。また,口腔機能低下症とKCLとの関連を検討した結果,非該当群に比べ該当群では,No.17「昨年と比べて外出の回数が減っている」という質問に対し「はい」と回答した者の割合が有意に高かった(p=0.046)。今回の研究結果より,歯科診療所通院患者において,「口腔機能低下症」「食」「外出頻度」の3つが相互に関係していることが示唆された。

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© 2022 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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