総合病院精神医学
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総説
周産期メンタルヘルスの日本における最近の動向
岡野 禎治
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2018 年 30 巻 4 号 p. 306-311

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抄録

国内外の調査から,妊産婦の自殺頻度が高いことが判明した。特に東京都23区の調査によると妊産婦の自殺率は国際的にも高く,大きな反響が生じた。一方,英国の大規模調査からは,妊産婦の精神状態と乳幼児の発達障害との間に有意な関係が明らかになった。こうしたエビデンスを受けて,新たな周産期メンタルヘルスに対する以下の日本の動向が注目された。1)関連学会に関しては,産婦人科関連学会の最新のガイドラインに妊産婦健診時の精神疾患の早期発見の方法が明記された。日本周産期メンタルヘルス学会は,多職種向けのコンセンサスガイドを作成した。2)厚労省は,産後の定期健診時(2週間,1カ月)における産後うつ病のスクリーニング・システムを提示し,市町村に対しては,産後の精神疾患の早期発見と適切なケアのための地域リエゾン体制の連携強化の課題を提示した。3)2017年度から自殺総合対策大綱に,産後うつ対策が新たに掲載された。

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© 2018 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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