環動昆
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東京都武蔵野地域の都市公園のチョウ類群集
吉田 宗弘平野 裕也高波 雄介
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2004 年 15 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

2001年4月から10月にかけて, 東京都武蔵野地域にある2つの都市公園において, トランセクト法によるチョウ類の調査を行った. 在来の環境を自然観察園として取り込んでいる野川公園では27回の調査によって7科35種1489個体, 広場を主体とした小金井公園では26回の調査によって7科25種942個体のチョウを観察した. 両公園に共通した優占種はヤマトシジミとスジグロシロチョウであった. 樹液依存性のタテハチョウとササ食のジャノメチョウおよびセセリチョウ科のチョウは野川公園, モンシロチョウ, モンキチョウなどの草原性のチョウは小金井公園において多く目撃された. 階級存在比の算定によって野川公園は二次段階, 小金井公園は都市段階と判定された. 大阪近郊の都市公園での調査結果との比較によって, 階級存在比の類似性は定量的類似度指数 (PIANKAのα指数) が示すチョウ類群集の類似性と必ずしも関連しないこと, およびスジグロシロチョウは武蔵野地域の都市公園を特徴付ける種であることが明らかになった.

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© 2004 日本環境動物昆虫学会
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