比較眼科研究
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原著
モルモットに観察された自然発生の空胞性白内障-(2)
藤枝 光博鈴木 智岡田 浩史古川 敏紀
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2002 年 21 巻 3-4 号 p. 135-141

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抄録

我々が既に報告したCrj: Hartleyモルモットの自然発生性の空胞性白内障について、さらに経日的な検索を行った。その結果、眼科学的検査において両側性の空胞性白内障が高い発症率(52%)で認められた。これら空胞性白内障は28週齢以前に発症し、その発症形態は水晶体の赤道部に空胞が認められた後、空胞が消失するものと、空胞が前極側に伸張し、白内障が重度化するものとに大別された。重度化した例の病理組織学的検査では、水晶体前極皮質の空胞化、皮質線維の変性及び配列異常が認められた。空胞性白内障が観察されたモルモットは、いずれも高い血糖値を示し、高血糖値と空胞性白内障の関連が示唆された。そこで、制限給餌により血糖値を低下させたところ、空胞は明らかに軽減した。さらに、これらの動物を制限給餌から不断給餌に戻したところ、血糖値の上昇に伴い空胞性白内障の進行が認められた。このことから、空胞性白内障の発症には、高血糖値の関与が明らかになった。

以上、高血糖値を示すモルモットに認められた空胞性白内障は、自然発生性の糖尿病性白内障と考えられた。モルモットは、ヒトと同様に糖誘導体であるアスコルビン酸(ビタミンC)を体内で合成できないことから、ヒト糖尿病性白内障の有用な疾患モデル動物となる可能性が考えられた。

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© 2002 Japanese Society of Comparative and Veterinary Ophthalmology
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